哲也-雀聖と呼ばれた男

週刊少年マガジンで連載されていた、ギャンブラーで小説家であった、阿佐田哲也という実在した人物を主人公とした麻雀漫画です。
舞台は戦後の復興期の日本、次々と現れる様々な技を持った玄人(ばいにん)と呼ばれるギャンブラーを主人公哲也が攻略し、勝つというお話です。


技といいましたが、そうですこの麻雀漫画、イカサマ上等の麻雀漫画なのです。主人公もまずはサイコロで狙った数字を出せるように練習するところから始まります。もちろんイカサマはバレれば大変なことになりますが、バレなければイカサマじゃないよね?それって技術だよね?というのがこの漫画の玄人たちの暗黙のルールとなっているわけです。こうして次々と考え抜かれたイカサマが登場することになるわけです。


漫画の中のイカサマもまずはジャブとばかりに、有名なところから入ります。出てくる頻度も多かったので、おそらく現実のイカサマもこれが一番多かったのではないでしょうか。「コンビ打ち」という二人で卓に入り「通し」という二人だけが分かる合図を送り、必要な牌を送ってもらうというものです。


これは当然何が合図であるか、それを見抜かれてしまうとイカサマ失敗、ということになります。それをいかに見抜かれないようにするか、いかに見抜くかそういう駆け引きが熱い漫画なのです。


主人公にも師匠から受け継いだ必殺技があってその名も「ツバメ返し」といいます。自分の目の前にある14枚の牌を一瞬で入れ替え、天和という役で上がるというとんでもない技です。もちろんそんなのイカサマだとなるわけですが、手段を指摘されなければ勝ちなのです。


印南という強烈なキャラクターの技も印象的で、牌の傷や汚れなどを記憶する「ガン牌」を使う玄人でしたが、牌に対策をされてしまい見えなくなってしまうのです、ですが対局中に指紋を頼りに再び牌の透視が可能に。ですが結局主人公に負けてしまうわけですが、対局後、印南がいなくなった後、冷静に考えて、指紋なんて皆が次々触る物で記憶することなんてできるものか?となります。だとしたら印南には何が見えていたのでしょうか。結局その謎は最後まで明かされることはありません。

 


命と魂を削るような熱い玄人の戦い、読み始めると手が止まらなくなること間違いなしです。