町でうわさの天狗の子

天狗の父と人間の母の間に生まれた秋姫と、普通の人間の同級生たちの日常を描く、不思議な世界観のラブコメディー作品です。 高校生になったばかりの秋姫は、恋に恋するお年頃。天狗の娘といっても、人並み外れた怪力以外は至って普通の、ちょっとどんくさい人間の女の子です。 秋姫は同じ中学校から同じ高校へ進学したタケルくんが大好きで、ある日勢いで告白してしまいます。

 

赤ちゃんの頃から一緒に育った幼なじみの瞬ちゃんは、悪態をつきながらも秋姫をいつも見守り、なんとか天狗になる修行をさせようと画策します。天狗が住まうお山から離れてしまうと、 未熟な天狗の秋姫は悪い妖怪に狙われてしまうのです。 実は天狗としてのすごい素質を持つ秋姫は、本格的にゴツイ天狗になって人間の友達に嫌われたり、普通の女の子のように恋愛ができなくなることを恐れていました。

 

タケルくんと付き合い始めた秋姫は、二人でお山から離れた海や街でデートがしたくて、ようやく瞬ちゃんと修行を始めます。 恋する愛娘が心配な天狗の父と、眷属の動物たち。人間の姿に化けられる眷属たちも、秋姫をおもしろおかしくサポートします。 タケルくんとの短い恋人生活が終わり、初めての失恋を乗り越えて高校生活を楽しむ秋姫は、いつも近くで守ってくれる瞬ちゃんへの特別な気持ちに気づかないままです。

 

天狗のお山で育った瞬ちゃんも、どこか世間とずれていて、秋姫のことを好きなのか育ててくれた天狗の娘だから大事にしているのか、気持ちが見えないまま初めての学生生活を過ごしています。

天狗の娘とからかわれて、新学期のたびにクラスになじめなくて寂しい思いをしていた秋姫が、お山から離れた高校で楽しく過ごせるように陰ながらサポートする瞬ちゃんの優しさと頼もしさは、見ていて「こんな幼なじみが欲しかった」と思うほどキュンとします。 秋姫だけでなく、登場人物がみんな素直でかわいくて、高校生らしく青春を謳歌している感じが大人が読んでもどこか懐かしい気持ちになり、応援したくなります。

 

終盤は、最初のコメディータッチの不思議な青春物語の世界観からは想像できないようなストーリーへと繋がりますが、最後まで秋姫と瞬ちゃん二人の微妙な距離感と固い絆はずっと変わりません。 繊細な絵と、突拍子もない笑えて泣けるストーリーで、年代性別問わず読んでみてほしいおすすめの漫画です。

町でうわさの天狗の子 コミック 1-12巻セット (フラワーコミックス)

新品価格
¥5,277から
(2018/8/5 02:05時点)